「家は教えてくれたのに携帯番号は教えないなんて変なの。……まぁ、いいや。さっき予定を確認したら、日曜日なら空いてた。何時くらいに行けばいい?」
「うーん。いきなり早くても辛いからな。時間は少し遅くてもいいかな」
拓真はそう言い、頬杖をついて目線を天井に向けた。
ホッ、良かった。
もしかしたら昨日みたいに夕方かな。
農作業のイメージは明るい時間帯だけどね。
私って断然夜派だから、週末は昼起きでぐうたらするのが日課なんだよね。
しかも、週末は待ちに待った給料日。
前日の土曜日は、祐宇と凛とクラブに行って朝まで遊ぶ予定。
久しぶりに二日酔いになりそう。
だが、拓真はそんな和葉の思いも知れず……。
「じゃ、朝8時でいいや」
「……へっ? はち……時?」
その時間は、私にとってまだ夜中なんだけど。
「そ。じゃあ、決まりな」
「無理! 週末の朝8時なんて真夜中だよ。せめて10時にして!」
「は? 昨日の草むしりとは訳が違う。野菜は生きてるから畑仕事は朝行わなければならない。お前の想像以上に畑仕事はデリケートだから、これだけは譲らない」
「無理っ。9時!」
「8時」
「9時っ!!」
「8時」
机越しに競りのような討論は繰り返されたが、睨み合いは続き平行線のままお互い一歩も譲ろうとしない。



