LOVE HUNTER



同日の昼休み。
拓真と農作業の約束をふと思い出した和葉は、カバンから出した手帳を開いて週末のスケジュールを確認した。


デートの条件の一つとして、土日のどちらかは畑に来るように言われたから……。
えーっと。
今週の土曜日は昼から夕方までバイトだから、次に畑に行けそうなのは日曜日かな?

よし!
今から拓真のところまで伝えに行こっと。



席を立った和葉だが、腰は針が突き刺さったような激痛が。
手で腰を押さえつつも、メガネをかけていない拓真の素顔を思い浮かべながら、ルンルン気分で教室を出て行った。






ところが、いつものように拓真の教室に入ると、何か様子がおかしい。
あっちを見てもこっちを見ても、女子からも男子からも視線が突き刺さる。


もしかして、私の美しさに見惚れてしまった……?


いやいや。
告白騒動で一躍時の人となってしまった事をすっかり忘れていて、拓真のクラスの生徒達に『すごい神経&根性の持ち主』と、横目でヒソヒソと噂されていた。



和葉は席で本を読んでる拓真の後ろからそっと近づき、耳元に顔を寄せて元気な声を発する。



「拓真、お待たせっ! なんと、16時間ぶり! あ〜んまりにも久しぶりだから、和葉の顔を忘れてなぁい? 腰痛がひどかったから、すぐに会いに来れなくてごめんね〜」

「お前っ……。懲りずにまた教室に来たのかよ。今朝は静かだったから、今日こそは平和だと思っていたのに」


「やだぁ。午前中からそんなに気にしててくれたのぉ? それなら、さっさと彼女にしてくれればいいのに」

「告白をはっきり断っただろ。俺はデートをするチャンスを与えただけだ」



いつになく粘る和葉に、拓真からはいつも通りツンツンツンの返事が届いた。



拓真が暴走族だった過去を頭の片隅に置き、腰の痛みと奮闘しながら、ようやくここまで来たのに。


……冷たい。


昨日の草むしりで少しは距離が縮まったと思ったのに、一晩経ったらまたふりだしに戻ってるなんて。



「デートするまでのハードルが異常に高過ぎ。しかも、用があるから来たのにさ。嫌なら拓真の携帯番号教えて」

「はぁ? 俺が携帯番号を教える訳ないだろ。まさか、5分おきにSNSメッセージでも送るつもりだろ」



拓真は目を細めて和葉に疑いの眼差しを向ける。



どうしてわかったんだろう。
正直、腰痛がしんどいからここに来るのがちょっと億劫(おっくう)だった。
教室まで来る代わりにメールをガンガン飛ばしてアピールを続けようと思っていたのに。