初めての農作業をした日の、翌日。
昨日は長時間の中腰だったせいか、今朝は酷い腰痛に。
痛めた腰を手で押さえて登校すると、先に来ていた祐宇が気付くなり目を驚かせた。
「登校拒否するんじゃなかったの? てっきり休むかと」
「……え、そんな事言ったっけ?」
「昨日、朝からブツブツひとりごと言ってなかった? 告白が派手に失敗したからプライドが傷付いて学校に来ないと思ってたよ」
……あ、そっか。
祐宇に言われて思い出した。
昨日は全校生徒の前で拓真にフラれたんだった。
夕方から拓真と一緒に農作業していたから、告白の件をすっかり忘れてたよ。
「そんな事あったっけ? 記憶にないなぁ。あー、イテテ。よっこらしょ」
祐宇に話を誤魔化して腰を押さえたまま自分の席に着席。
17歳の女子高生らしからぬ姿は老婆とほぼ変わらない。
昨日の告白失敗後、拓真に自慢のネイルアートの爪を切り落とされた挙句、モンペを履いて一緒に農作業したなんて到底言える訳がない。
でも、拓真の衝撃的な過去を知って驚いた。
まさか、元暴走族だったとは。
写真の中の拓真は金髪のツンツン頭。
背中に刺繍が入った白い特攻服着て、装飾が施されている改造バイクにまたがっていた。
物静かに暮らしている今とは、まるで別人のよう。
普段は黒縁メガネをかけていて黒髪だし、毎日物静かに本を読んでいるから、誰がどう見ても暴走族とは無縁だ。
人の本性って、外見だけじゃわからないんだね。
でも、グレちゃった理由って何だったんだろう。
私は母親から愛情を受け取れない子だったけど、拓真も私と同じように本人しかわからないような事情があるんだろうね。
最後は『もう更生したから』って、過去を見つめるような目つきをしていた。
気になるひとことを言った後は、過去の話に蓋をした。
しかも、暴走族だった事を他言しないように口止めまで……。



