LOVE HUNTER





ーー草むしりを始めてから、およそ2時間半経過していた日没間近の頃。


言い渡された範囲の中の残り3列目に差し掛かると、ところどころ種類豊富に生えているはずの雑草が、まるで境界線を張られたかのように綺麗さっぱりと取り除かれていた。

和葉は思わず見とれるように立ち上がる。


軽く周囲を見渡してみると、半々と言い伝えられていた範囲のおよそ四分の一程度が終わっていた。



「あれ……。拓真ったらいつの間に私の範囲まで……」



雑草方面に背中を向けて作業に没頭するあまりに気づかなかったけど、いつの間にか彼が私の範囲まで手掛けてくれていた。

さりげない優しさは、石像のように動かなかった恋心を揺れ動かしていく。



「あー、イテテ……」



長い時間中腰の体勢のままだった腰は、もう崩壊寸前に。
少し腰を動かすだけでも激痛がする。

それは、青春を謳歌してる女子高生のセリフとは到底思えない。




しかし、草むしりに集中していたせいか、一緒に作業していたはずの拓真の姿が見当たらない。
沈みゆく夕陽に包まれてカラスの鳴き声が響き渡る畑には自分しかいない。



アイツは私を放ったらかして何処に行ったの。
まさか、先に帰ったとか。

そんなぁ。
人に作業を言い渡しといて最後は放ったらかしに?
幾ら何でもよく知らない畑に一人ぼっちにするなんて……。



和葉はモヤモヤした気分になりながらも、雑草の入ったビニール袋を片手に拓真の自宅へと向かった。

すると、母屋まであと8メートルというところで、拓真は足音を立てながら背後から駆け寄り、後ろから和葉の目の前に受け取れと言わんばかりにコーラ缶を差し出した。



「お疲れ。コーラ飲める?」

「うん、大丈夫。ありがと」



和葉は思わぬ計らいにキョトンとする。
雑草袋を床に置いて、拓真が自分の為に買って来てくれたコーラを受け取った。



ホッ……。
さすがのツンデレちゃんでも、私を畑に残したまま帰るワケないか。