毎週土日のどちらか一日会えるのは、ここ二週間の功績を振り返ると願ったり叶ったりだけど……。
よくよく考えてみれば、自分に不利な条件ばかり。
さすがの私もその提案は腑に落ちない。
「それがアンタの交換条件? しかも、今日の草むしりプラス5回の農作業で、たった一度きりのデートって、ちょっと比率がおかしくない? 割に合わないんだけど」
「……っそ。条件が飲めないなら帰ればいい」
「なっ!」
「こっちだってお前の為を思って苦渋の決断をしたんだ。嫌なら辞めれば。但し、今後は金輪際チャンスを与えないからな」
拓真は強気な姿勢でバトンを渡した。
生意気で嫌味ったらしい態度だが、和葉は今回がラストチャンスとわかると、不透明な気持ちに尾を引かせてしまう。
和葉は自分への関心が薄れた途端、何故か気持ちが抉られたような気分に。
拓真にもう一度考え直してもらえるように、身体を小さく揺さぶり縋り付くように甘い声を発する。
「拓真ぁ……」
「俺と付き合って欲しいんだろ。全校生徒が見ている中で狂ったように愛を叫ぶくらいに」
「……っ」
今朝、大いなる失態をしてしまった。
しかも、それを今になって逆手に取るドSな彼は、ニヤリと口元を緩ませながら太陽光でメガネのレンズを反射させた。
生意気な拓真にどう返答したらいいかわからない。
唇を強く噛みしめるあまり、顎には巨大な梅干しが出来た。
あームカつく。
拓真ったら、本当に意地悪。
たった一回ポッキリのデートをするのに、計6回の農作業をしなきゃいけないなんてあり得ない。
デート如きで人を都合よく利用するなんておかしくない?
青臭いガキのクセに偉そうにしちゃって。
お姉様の私に向かって一体何様のつもりなの。
和葉は怒りに堪えながらも口を閉ざし、臨時収入の為に仕方なく従う事に。
ところが、無言で畑の方へと身体を向けて拓真を横切った時、拓真はすかさず呼び止めた。
「ちょっと待った。畑に入る前に手を出せ」
拓真は和葉に向けて手のひらを差し出す。
その姿は、まるで舞踏会でダンスを申し込んでくる紳士的な貴公子のよう。
現実的なバックステージは広大な畑だが、幻想的なバックステージはホテルの一画にあるダンスフロアのようだった。



