LOVE HUNTER



ところが、好きな香りに包まれて幸せを存分に味わっていた和葉だが……。



ドンドンドン……

部屋の扉が揺れ動くくらい、扉が三回激しく叩かれた。



「遅っせーなぁ。着替え始めてからもう10分経ったぞ! いいか、もう部屋に入るからな」



拓真は部屋に閉じこもったままなかなか出てこない和葉にしびれを切らして、勢いよく部屋の扉を開けた。


バーン……


ところが、拓真の目に映し出された光景は、モンペ姿でにこやかに微笑みながら、気持ち良さそうに枕に頬ずりしてる和葉の姿が。

この瞬間、拓真はあまりにも不可解な行為に言葉を失う。



和葉は扉の向こうで痙攣したように引きつった顔の拓真を見るなり、ふと我に返った。



ハッ、しまった……。
枕に頬ずりしてたのが見られてしまった。
私とした事が。

香りに誘われるが故に、我を忘れてしまった。
よくよく考えてみれば、こんなみっともない姿を見られちゃうなんて最悪。

これじゃあ、まるで変態女じゃん。




ゆっくりと震えた人差し指を向けた拓真は、身を震わせながらか細い声を出す。



「おっお前……、何してるんだ」



現場を押さえた拓真は完全にドン引きしている。
一方の私は、ピンチに陥り頭が真っ白に。



「あっ……あぁ……。えへっ、ちょっと歩き疲れちゃったし、ここにちょうどベッドがあったから横になろうと思って……」



わかってる。
裏返った声で苦し紛れの咄嗟な言い訳なんて、きっと奴には通用しない。



「歩き疲れたって……。お前が歩いたのは、たったの15分だろ」

「あはは。お姉さんには、ちょっと田舎道の距離が長かったかなぁ」



毛穴から湧き出てくる冷や汗は、奴に突っ込まれる度に額に浮き出てくる。
奴から届く目線は、ふりだしに戻ったような冷たさだ。



拓真からチャンスをもらえてラッキーだったはずが、ちょっとした過失により事態は急展。
家にお邪魔させてもらったばかりなのに初っ端から最悪なスタートを切り、二人の距離は更に遠退いたように思えた。