う……そ……。
奴は抱こうとしているだけじゃなくて、この私にコスプレを着させるつもりなの?
……ってか、ドン引きなんだけど。
もし、この袋を受け取ってしまったら中を開けるのが怖い。
どんなコスプレが入っているのだろう。
婦人警官?
ナース?
ウェイトレス?
それならまだマシかもしれないけど、生理的に受け付けないコスチュームだったら……。
袋を受け取ろうとしてる手は、妄想が膨らんでるせいか震えている。
でも、差し出されたからには受け取らなければならない。
「やだ〜。これ何? コスプレ? 私、そんな趣味ないんだけど。拓真って案外趣味悪いんだね」
袋を受け取りつつも、現実逃避したくなって明るく突き放すようにそう言うと……。
拓真はプッと吹き出して腹を抱えて笑った。
「くっくっく……。お前ってホント面白いな。ある意味コスプレかもな」
思いっきり笑われた……。
昨日までまともな会話が成立しなかったあいつに。
なんか、バカにしたような笑い方がどうも気に食わない。
でも、ある意味コスプレって言ってるから、やっぱりコスプレなんだよね。
やだな。
着たくないよ……。
ところが、勇気を出して手渡された袋を開けてみると、そこには……。
サンバイザー
手拭い
花柄のシャツ
モンペ
ーーこれは、明らかに畑仕事をしてるお婆さんが着てるやつ。
まさか……、考えたくないけど。
そーゆー性癖の持ち主だったの……。
コスプレだけでもドン引きなのに、ババ臭いコスチュームがお好みだなんて。
どちらかと言うと、生理的に受け付けない方じゃん。
「拓真は、こっ……こーゆーババ臭いコスプレが趣味なの?」
「アホか! とりあえず着替えろ。いいな!」
怒りのシャワーは顔が歪むくらいキンキンしている。
拓真はクルリと背中を向けて扉に足を進めて、去り際にニヤリとひとこと。
「ふーん、エッチな事を想像しちゃったんだぁ」
バカにしたような捨て台詞を言った後、部屋の扉はパタンと音を立てて閉ざされた。
「あれ……、違うの?」
度肝を抜かれて目をキョトンとさせた私。
どうやら、とてつもない勘違いをしていたようだ。



