LOVE HUNTER



拓真は階段を上ってすぐ左の部屋に入ると、鞄を机の脇に下ろす。
何も聞かされぬまま素直に後ろについて来た和葉は、部屋に入るなり妄想が頭の中を駆け巡った。



コイツ。
デートみたいなものとか言って、いきなり部屋に誘うなんて……。

まさか……。
まさかまさか!

交際を通り越して身体の関係になろうとしてる?



さっき、屋上で付き合いたい理由を聞かれた時に思わず好きだと言ったから、都合のいい女にしようとしてるの?

やだ、いきなりそーゆー関係なんて勘弁。
学校では軽い女だと噂されてるけど、実際はそこまで安っぽい女じゃない。



奴は真面目系なのに、初っ端から部屋に誘うなんて結構大胆なのね。
好きでもないのに迫られたらどうしよ。


身体の関係になれば、凛との賭けは一応勝ちになる?
でも、身体を張ってまで賭けをやる必要がある?


待ってよ。
いきなりそんな無理だよ。
急に迫られても心の準備が……。



それ以前に、今日の下着はアンサンブルだったっけ?

いや、違う。
今日に限って、体操着に透けないようにババくさいベージュにしていた気がする。
3時間目に体育があったから、身体は汗臭くないかな。

汗が臭わないように後でこっそり全身に消臭スプレーしないと。


腕を上げて身体の匂いをクンクン嗅いでいると、拓真は冷ややかな目を向ける。



「何してる」

「え……、あっ……ちょっと」


「まぁ、いいや。ちょっとここで待ってて」



そう言い残すと、拓真は部屋から出て行った。
部屋に取り残された和葉は、その場に荷物を降ろしてストンと腰を落とす。