非常に答えにくい質問に和葉の目線は自然と左へ流れる。
「た……拓真と付き合いたい理由は……、(お金が)すっ、好きだから」
「(俺が)そんなに好きなの?」
「……うん、(金が)狂おしいほどに」
「くっ……狂おしいほど?! 嘘つけ」
奴は私が好意を寄せていると思ったかもしれないけど、私は邪な気持ちで満載だ。
だけど、40センチの距離感はいつも隣から見上げてる光景とはまた違う。
なんて言うか……。
胸がザワザワするというか。
もしかしたら、フラれた事が精神的にキているのかもしれない。
「別に嫌いじゃねぇよ。肝っ玉座ってるあんたのそーゆートコ」
拓真はそう言うとフッと笑みを浮かべた。
ツンデレと言われている奴の性格は、まるで飴と鞭。
鞭で散々叩ききった挙句に、まるで何事もなかったかのように甘い甘い飴は差し出された。
いっその事、奴を嫌いになれば楽になるのに、初めて見せた表情変化に思わず目線が奪われた。
「ま、お前はどうしようもないほど【SBO】だけどな」
「……え? SBOって、何ソレ? 初耳」
「意味は自分で考えろ。頭が悪そうなお前でも、少し考えれば意味がわかるから」
拓真は和葉の隣にストンと座って片膝を上げて手を置き、目線を遠くに向けた。
頭が悪そうだなんて失礼しちゃう。
まだ私の事を何も知らないクセに。
しかも、急にSBOとか訳の分からない事を言い始めた挙句に『わかるだろ?』と言われてもね。
意味がわからないから初耳だって言ったのに。
「えっ、それって何かの略? ……んー、なんだろう。全然わかんない。せめてわかりやすいヒントを教えてよ」
「俺がいま感じている事だ。(S=最高に B=バカで O=オカシイ の略に決まってるだろ)」
「えっ、拓真が私に感じてる事? えーっと、えーっと。なんだろ……」
偽りの恋に玉砕してただですら混乱してるのに、奴の予測不能なひと言に頭を悩ませた。



