LOVE HUNTER



「どうやら自分でも気付かないうちにお前に惹かれてたみたい。離れ離れになってるうちに、気持ちがコントロールできなくなってた。きっと、腹立たしいと思う一面で、お前がいない寂しさに襲われていたんだろうな。思い返してみたら、お前と笑い合ってる時が一番幸せだって。まぁ、それに気付いたのは屋上に上がってくる道中だけど」

「拓真……」


「金を賭けられて許したくないほど腹立たしかったけど、それ以上に反省の涙を流している姿に耐えられなかった。それに、俺自身も嘘をついた。『お前と恋愛する時間がなかった』なんて都合のいい言い訳に過ぎなかった。本当はしっかり恋愛してたのに……」

「私と拓真じゃ罪の大きさが違うよ」



これが正直な答えだった。
拓真がそう言ったのは、栞と付き合い始めたあの運命の日だったから。

あの時は、こうやって冷たく突き放せば諦めてくれると思ったからに違いない。



「いいや、嘘は人を傷付ける。だから、あの時は嘘をついてごめん」

「ううん、私の方こそごめんなさい。自分の未熟さに後悔してる。嫌われたまま拓真の声が聞けなくなると思ったら胸が苦しかったよ。……でもね、手を差し伸べてくれた人達に背中を押してもらえたら、私達の関係がスタートした時と同じ屋上に立ってた」

「だから、あんな無茶なマネを?」


「でも、最終的に私の話を聞いて返事をしてくれたから」

「ふっ、なんだよソレ。結果オーライって感じ?」



拓真は二度目の大勝負に出た和葉を思い出すと、息が抜けたように砕けた笑みを向けた。
和葉は久しぶりの笑顔を見たら、瞳から涙がポロッとこぼれ落ちた。

すると、拓真は両手を和葉の頬に添えて、両親指で流れ落ちる涙をクイっと拭う。



「……俺、今から伝えたい事がある」

「えっ、何?」


「いいか、たった一度だけしか言わないから、耳をかっぽじって聞けよ」

「うん、わかった」



すっかりペースに飲まれた和葉は、ウンウンと小さく頷く。
すると、拓真は泣き顔になっている和葉の瞳をじっと見つめた。



「お前が好きだ。喧嘩していても無意識に目で追ってしまうし、泣いてる時はこうやって涙を拭ってあげたくなる」

「拓真……」


「……でも、賭けで近付いた事は絶対に許せない」

「えっ!」



拓真の気持ちが伝えられて天にも上るくらい嬉しかったが、『絶対に許せない』というお土産付きに思わずパッと目を見開いた。