そう……。
私はLOVE HUNTER。
狙いを定めた男は必ず落ちた。
自信に満ち溢れていたつい数ヶ月前までの自分は恐れるものなんて何もなかった。
人一倍美しい美貌をもつこの私にライバルなんて存在しない。
恋愛は全て完全勝利のゲームだと思っていた。
でも、それは恋に落ちる直前までの話。
恋に玉砕してしてからは、まるで別人のように自信を失っている。
背中から月光を浴びて黙り込んでいる和葉の正面に立った凛はピシャリと叱咤した後、目元を和らげて穏やかな口調で言った。
「和葉はLOVE HUNTERなんだから最後まで使命を果たさなきゃ。無駄な気を揉んだり、余計な遠回りばかりしてても意味がないよ。恋はギャンブル。拓真が大切なら後悔しないように頑張ってみたら?」
「でも、今の私じゃまだ……」
はっきり言って自信がない。
調子に乗っていたあの頃とは違う。
私が一方的に対話を望んでも、深く傷付けてしまったから想いをぶつけたとしても信じてもらえない。
数々の想いが交差している和葉は、心の中で葛藤を繰り返していた。
すると、祐宇は間に入って和葉の肩に手を添えた。
「私に『好きなら一度断られたくらいで諦めちゃダメだよ』って言ったのは和葉だよ」
「えっ、私?」
「そ、私達はこれから一緒に恋を応援するから、次はきっと頑張れるよ。私も少し前は弱気になってたから和葉の気持ちが物凄くよくわかる」
「うん……」
「恋が始まった当初は自信があったんでしょ? 振り向いてもらえないからハートを掴む為に一生懸命恋愛していたんでしょ。……なら、大丈夫! きっと今はあの時以上に頑張れると思う」
祐宇はそう言って返事を聞かずに背中を二回ポンポンと叩いた。
和葉には『自信を持って』という合図を受け取ったように思えた。
叩かれた振動が身体中に鳴り響くと、和葉はスタートの合図のピストルの空砲が鳴り響いたような気分に。
そして、カッと胸が熱くなった。
私は恋をしている。
今はこれが人生最大級の宝物だ。
最初は赤の他人だった。
でも、気付いた時には一番大切な人に。
お互い笑い合って過ごしているうちに、いつか恋が実るんじゃないかと思って、二人の未来を描くようになった。
だけど、恋が本気になっていく度に弱気になった。
人間一人では生きていけないように、私も誰かに力を分け与えてもらえないと頑張れなくなってたみたい。
悩みが重なって怖くなってしまった途端、自分の殻に閉じこもっていた。
そして、たった一人きりで問題を解決しようと……。
でも、それは無理だった。
自分はまだ未熟な人間だから。
しかし、自信という合図を受け取ると、後ろ向きだった気持ちは前向きへ。
ボールのように心が弾み始めたら、恋を頑張りたくなった。
応援してくれる人がいる限り、気持ちを今以上に大切にしたい。
だから、今の心境を伝えた。
「……私、後悔したくない。もっともっと頑張りたい。幸せをこの手で掴みたい」
和葉の口からようやく前向きな言葉が飛び出すと、祐宇と凛はお互いの顔を見合ってニコリと微笑んだ。
そして、二人の温かな眼差しは和葉へ。
凛「あんたはあんたらしくしてればいいの。何も恐れる事なんてない。しっかり謝って気持ち伝えな。あんたはLOVE HUNTERなんだからさ」
祐宇「頑張れ頑張れ! きっと上手くいく。私達は和葉の恋が成就する事を心から願ってるよ」
和葉は四人目、五人目の救世主に助けてもらったお陰で、沈んでいた心からようやく立ち直る事が出来た。
もう怖くない。
応援してくれる人がいるからこそ頑張っていける。
だって、私は大切な人達から大きなパワーを与えてもらったLOVE HUNTERなのだから。



