……っ、もう知らないっ!

何とかなる!
何もせずにウジウジしていているから、波のようにゆらゆらと気持ちが揺らぐんだ。
奴が押しに弱いタイプと願って勇気を出して行こう。





和葉は屋上柵のギリギリの所まで移動し、上から拓真の姿を確認すると、勇気を振り絞って屋上から大声で叫んだ。

一か八かの返事を賭けた、ここ一番の大勝負。



「1年3組弘崎 拓真ああぁぁ………。私、一ノ瀬 和葉はあなたの彼女になりたいから付き合って下さい! お願いしまあぁぁ……す」



自分でも驚くほど叫び声が鳴り響いた。
告白に集中していたから目線は拓真から外さない。

全身全霊をかけた生まれて初めての告白は、驚愕してあんぐりと口を開けている彼の元へしっかり届けた。



「和葉……、何やってんのよ……」
声を詰まらせた凛は驚くあまり言葉を失い。


「前々からネジが外れていたけど、金に目が眩むあまりに、とうとう完全にイッちゃったね」
祐宇は冷や汗混じりでため息をついた。




屋上の和葉を見上げた二人だが、事前相談は受けていない。
だから、突拍子もない行動に唖然とする。


当然、校庭に整列していた生徒達は騒然。
直にご指名を受けた拓真は愕然。

開始されたのは全校集会じゃなくて、校内ではちょっとした有名人の和葉の愛の告白が始まったのだから。



私は堂々と胸を張って柵越しに返事を待った。
緊張のあまり手汗がビッショリ。
足はまだガクガク震えている。



スッピンで勝負できるくらい美貌に恵まれていて。
身長は153センチの小柄で華奢だけど、Eカップの美ボディ。
男には放っておかれないほどモテて、いつもは自信に満ち溢れているけど……。



本当は心底返事が怖い。



でも、彼の()をハントすると決めたからには、堂々と胸を張って最後まで身をもたせなければならない。