LOVE HUNTER



それから、恋のライバルになった愛莉が自分の腕を爪で引っ掻いて、後から来た拓真の目の前で私が争った傷だと罪をかぶせてきた。

あの時は拓真が仲裁に入ったけど、現場を見てないのに愛莉の味方をしているように思えたから腹立たしく思った。

でも、その日の放課後、拓真は自分の足で誤解を解きに来た。



『俺はこの目で真実を見ない限り信じない。それに、自分が間違ってなければムキになって反論する必要はない。いつも通り堂々としてればいいと思う』



私が愛莉を傷付けていないと信じていたからこそ、二人の為を思って敢えて私に我慢を強いるように仕向けていた。

結果、愛莉は自身と向き合う時間が与えられた事によって、後日謝罪へと繋がった。



ストーカー男に誘拐されそうになった時は、一旦忘れ物を取りに学校へ戻って行ったたはずの拓真が、私との約束を優先する為に道を引き返して、トラブルに遭っている私を助けてくれた。

その時、ストーカー男に向けて言い放った拓真の本音。



『コイツはな、容姿は派手だけど、いつも前向きで頑張り屋で、不器用だけど、一生懸命で誰にも負けないくらい根性がある。どんな試練が立ちはだかっても、後ろを向くような奴じゃない。あんたが考えてるような、その辺のチャラチャラしてる女とは違うんだ』



私は生まれて初めて男に守ってもらったと同時に拓真の想いを知った。

あの時は泣きそうになった。
いつもは意地悪ばかり言って私をバカにしていたのに……。



解決後は足が震えてまともに歩けなかったから送ってもらう事に。
あまりにも長い乗車時間の中、私は拓真に肩を貸した。
すると……。



『……小せぇ肩』

『え……』


『こんなに小さな身体で一体どんな人生背負ってきたの?』



まるで苦労ばかりの人生を見透かしているかのように、小さな声でそう呟いた。

これが初めての質問だった。
毎日一緒にいても気にされた事がなかったから、あの時はちょっと驚いた。



白菜の収穫に失敗して肘に怪我をした時、同日の夜に敦士のライブに行った事が翌日拓真にバレてしまった。

放課後、昼から口を聞いてくれない拓真に、無視する理由を尋ねてみると。



『それは、怪我が心配で会いに行ったのに、二人の会話を黙って聞いてたら昨日遊びに行ったって……。こっちは夜眠れなくなるくらい心配してたのにさ』



まるでヤキモチを焼いたような態度を見せた。
私がどうでも良ければ不機嫌にならないし、放っておくはずだろう。
それなのに、口を尖らせながら不満を口にした。


だからその時は身体の心配してくれていた拓真との関係が、一歩づつ前進していってるんだなと感じるように。


思い出はこれだけじゃない。
一つ一つ挙げたらキリがないほど幸せに満ち溢れていた。

それなのに、スタート地点に杭を打ったのは私。
自発言に責任を持って行動してれば、関係が壊れる事はなかったのに……。



広大な畑に一人で身を置く和葉は、二人の大事な思い出を思い描いて溢れる涙を袖で拭いながら、足下の雑草をひっこ抜いた。