LOVE HUNTER



栞と河原で別れた二人は、駅ビルに入ってるファーストフード店に場所を移して、ドリンクの乗ったトレーを持って二階に上がり、空いてる席に腰を落とした。

祐宇はストロー袋を開けてドリンクのプラスチックの蓋に差し込むと、早速栞の話題へと移した。



「私達さぁ、藤田さんから好きの強さを思い知らされちゃったね」

「あの子が持っている真の強さについ圧倒されたよね」



ハハッと苦笑した凛はテーブルに頬杖をつくと、長い黒髪がはらりとテーブルに差し掛かった。



「事故で怪我をしてから身体も心も辛かったはずなのに。好きという気持ちだけでこんなに前向きに思えるようになるなんて……。普通だったら放っておけばいい問題も、あの子にとっては何一つ見逃せなかったんだね」

「話を聞いてたら、自分が我慢する事の方が多かったのにね。最後は好きな人の笑顔を取り戻したいと思えるなんて凄い。幼馴染とは言え、あれはなかなか真似出来ないよ」



栞が胸に抱えていた想いは、祐宇と凛の二人の心までしっかりと伝わった。
そして、自身の恋愛と向き合うキッカケの一つに。



LOVE HUNTERの二人にも、得意じゃないものもある。

ーーそれは、純愛。
嘘偽りない本物の恋。

数知れず受け入れてきた偽物の恋は、残念ながら本物を上回る事ができない。



「もし、藤田さんが私のライバルだったら、勝てそうにないな」

「和葉は相当苦戦したんじゃない? あの子の見た目はおしとやかで控えめだけど、中身は別人のようにしっかりしてる。ハキハキとした口調もそうだけど、自分の意見をしっかり伝えるし、出るとこは出て引くところはちゃんと引いていたから」


「あはは、言える。あの子がライバルならかなり手強い相手だわぁ。好きという気持ちが、自分の根本的な考えをひっくり返しちゃうなんて」

「でもさ、私も藤田さんを見習わなきゃいけないところが沢山あったよ。今回の件はいい勉強になった」



二人は和葉の親友だから、栞よりも和葉の味方をしたいという気持ちは山々だが、最終的に拓真の気持ちを優先としたいという大きな決断を下した強さに圧倒されてしまった。

理解し合えたお互いが顔を見合わせると、思わずフゥッと深いため息がもれた。



「でもさぁ、敦士くんはやっぱりただの友達だったんだね。最近教室に遊びに来なくなったけど、一時期は毎日一緒に帰るくらい仲が良かったから、てっきりお互い気があるかと思ってた」

「んー。和葉ったら何にも相談してくれなかったから、まんまと騙されたね。敦士くんも目からハートが飛び出してくるほど、相当お熱だったから」


「まさか、和葉の本命があの拓真だったなんてね。毎日顔を合わせていたのに全然気が付かなかったよ。最初は美男美女で二人がお似合いだと思ったから恋の提案として拓真の名前を挙げてみたんだけどね」



凛は賭けの提案をした頃を思い返して、両手で頬杖をつき直して無気力にフッと微笑んだ。

しかし、凛の口から賭け事の話が浮上すると、ストローから口を離した祐宇は、何かに気づいて目を見開いた。
そして、口元をカクカクと揺らしながら震えた声を届けた。