LOVE HUNTER




和葉は一年三組の拓真の教室へと到着。
扉の向こう側から教室内をヒョイと覗き込み、目をキョロキョロと左右させて拓真を探した。

ところが、教室内には見当たらない。



先ほど拓真に3メートル以内に近付くなと忠告されたばかりだが、上乗せされた報奨金により拓真の悲痛な叫びをあっさりとかき消された。



二週間毎日アピールを頑張っていたから、言われるがままに接近を辞めるのも少し気が引けていた。

何だかんだ言っても、顔を合わす時間が多かったせいか、少しばかし気になってはいる。



「いないなぁ……。あいつは私が追ってくる事を察知したのかもしれない」



さっきは険悪ムードのまま別れたし、今もこうやって教室にいないって事は、やっぱり避けられてるのかな。


それから和葉は拓真のクラス内で情報を嗅ぎ回った結果、拓真がいるのは非常階段の三階か、職員室の向かいの階段を上がった屋上付近の渡り廊下か、体育館の裏にある花壇の脇のレンガに座ってるかどれかと知る。


しかし、手元の腕時計を見ると、休み時間終了まで残り3分。
今から探しに向かっても、時間に余裕がないので捜索を断念した。



和葉は諦めをつけて自分の教室に戻り渋々と席に着いた、次の瞬間。



「そうだ!」



ビッグな名案が閃いた。
思わず丸めた肩が小さく揺れる。



幸運の女神様は私を見放していなかった。
逃げも隠れも出来ない、奴の気を引くとっておきの方法を。

日々のアピール作戦は少なからず成功していた。
これは、少しでも私を意識していた証拠とも取れる。


それに、清楚系の例えとして祐宇を挙げたという事は、少しは私に興味を持ってるのかもしれない。
好きは嫌いの裏返しだって言うし。

二人の関係がステップアップしていく途中段階だったのかもね。



だから、言われるがまま身を引いちゃダメ。
ガンガン攻めていけば、最終的に落ちるかもしれないし。