LOVE HUNTER



「……私、もう高校生だよ。おじさんったら甘やかし過ぎなんだから」



彼は私が喜ぶようにおかずの一つ一つに何らかのイメージを沸かせた様子。

タコさんウィンナーのハチマキの海苔は斜めにズレていた。
それを見たら不器用ながら一生懸命作ってくれた気持ちが伝わる。



拓真と関係が崩れ始めてから食欲に波があったから、残さずきちんと食べて欲しいとメッセージを伝えているのかもしれない。



和葉は父親の愛情が凝縮された可愛らしいお弁当を見たら、思わずクスッと笑顔がこぼれた。
と同時に胸から熱いものが込み上げてくる。



彼は私が幼い頃から母親に求めていた事を叶えてくれる人。
いつも以上に手の込んだお弁当を見た途端、自分もこんな素敵な人と出会って結婚したいと思った。



和葉は嬉しさのあまり顔が真っ赤にしてじわじわと涙が込み上げてくると、あっという間にお弁当箱の手前に二粒の涙が不揃いにこぼれ落ちた。



誰もいない自宅は都合がいい。

今は物音一つすら聞きたくないくらい落ち込んでいるし、一人になりたかったから。
だから、テレビもつけずに用意されたお弁当を黙々と食べた。



食欲がなくて半分しか手をつけなかったお弁当箱に蓋をすると、祐宇と凛の二人から別々に電話があった。

内容は二人とも同じ。
拓真に自分達の会話を聞かれてしまったその後について心配している。


勿論、話を聞いてもらえるような状態ではないとは言えなかった。
いま二人に真実や本音を伝えれば、きっと気が楽になる。
つい先日まで敦士に相談していたように伝えれば、心の痛みは少し緩和されるだろう。



でも、沙優のように裏切られたり、敦士のように急に友達じゃなくなってしまったら、心の行き場が消えてしまう。

祐宇と凛は裏切らないだろうと信じていても、目の前にトラウマが立ちはだかっている。



「二人で話し合ったら何とかなったから大丈夫だよ」と、瞬時に思いついた嘘をつくほか言葉が見つからなかった。



和葉は余計な心配をさせまいと思って、この苦しみを再び胸の中にしまう事に。
しかし、二人は電話先の鼻声の和葉がどんなに『大丈夫』と繰り返しても納得しない。



それぞれの口から今回の件の引き金が自分達だと伝えられたが、個々に話を聞いているうちに二人で話し合ったと思われるほど内容が重複していた。

その上、賭けの提案は彼氏と別れたばかりの私への恋の提案だったという事実を知らされた。

金に目が眩むあまり、二人の思いを履き違えてしまった自分は本当に情けなくてため息しか出てこない。