LOVE HUNTER



今は一人の友達を失ったばかりで注意散漫になっていたせいか、過去の自分が他人事のように思っていたところがあったのかもしれない。

拓真はきっと恋心さえ疑い始めている。
マトモに取り合ってもらえないから、きっと騙された気持ちの方が上回ってるだろう。



もし、過去にタイムスリップ出来たら、賭け話をしたあの日に戻って馬鹿げた発言を撤回したい。
そして、拓真を知らないままの自分でいられるように軌道修正したい。

失恋しても忘れられないとか、現実を受け入れても恋心が健在だとか、そんな脆く儚い気持ちなんてどうでも良くなるくらい今回の失態は死活問題になってしまった。



賭け金を巡って追いかけていたのは最初の二週間程度。
恋心に偽りがないという事実を伝えて、一刻でも早く誤解を解いて謝罪しなければならない。



恐怖とショックが重なって身体を震わせている和葉は、頭の中が破裂しそうなほどあれこれ思い巡らせていると、祐宇が肩を二回叩いた。



祐宇「ねぇ、超ヤバくない? ツンデレ拓真めっちゃキレてるよ」

凛「賭けの提案をした私達があいつの後を追うより、接点がある和葉が謝りに行った方がいいかも。早く行きな」

和葉「うん! 今すぐ謝りに行ってくる。ごめん、先に帰ってて!」



和葉はそう伝えると、目の色を変えたまま拓真の後を追いかけた。


アスファルトに叩きつけるように地面を踏みしめて、遠く離れて行く不機嫌な背中を追った。
拓真は早足だが幸い視界内に。

だが、万が一捕まえたとしても、また恐怖で何も言えなくなってしまうのではないかとも思っている。



全身の血の気が引いているせいか、外気以上に身体が寒い。
それでも、弱音なんて吐いていられない。
誤解を解く事一心で、周りの景色が目に入らなくなるほど夢中で走った。



でも、どうして私に会いに来たの?

偶然?
……ううん、お互い校舎が違うし、下校時刻から大幅に時間が過ぎてるから偶然とは考えにくい。

最近は校内で偶然会っても会話どころか挨拶すら交わさないような関係になっていたから、拓真がここに来た理由がわからない。

今さら友達以下の関係に戻った私には用は無いはずなのに……。




誤解されたまま家に帰す事が出来なかった。
この恋が一生手に入らないと知っていても、積み重ねてきた想いまでは誤解されたくない。



一方の拓真は、栞が今日は友達と遊びに行くと言って先に別れたので一人で帰る事に。

職員室に寄った際、たまたま南校舎の廊下で和葉達三人が歩いてる姿を見かけたので後を追った。
少し前から和葉と関係改善を図ろうと思い、栞がいない隙を狙って話をする機会を狙っていた。

ところが、三人の後を追った後、奇しくも驚愕的な事実を耳にしてしまう事に……。



「拓真、待って! ……っ、拓真!」



声で引き止めようとしても、拓真は振り向くどころか足を止めない。
しきりに名前を叫んでも、周囲の雑音の一つに紛れ込ませているかのように意図的に聞き逃そうとしている。

しかし、こんな状況を作り出してしまったのは紛れもなく自分。
だから話を聞き入れてもらえなくても、無視されても仕方ないと思っている。


遊び半分で近付いた事を許してもらえなくても、恋心に偽りがなかった事だけはどうしても今日中に伝えたい。