LOVE HUNTER



すると凛は、ノリの悪い和葉に手のひらを返したような態度を見せる。



凛「あ、そ。無理ならやめ……」
和葉「一ノ瀬 和葉、今日も頑張って拓真のところに行って来まーす」



そう言って瞬時に席を離れた和葉は、目の前から三万円どころか、二万円の文字すら消えかかった瞬間、良心を捨てた。


残念ながら、理性というものは数秒程度しか保てない。



美容院、ネイルサロン、クラブ、服、靴、カバン、メイク道具。
欲求が多いばかりに優柔不断な意志よりも金の方が勝る。



いざ心が決まると、急に1分1秒が惜しくなってしまい、壁掛け時計を確認して昼休みの残り時間を逆算してから拓真の教室へと向かった。



祐宇「恐るべし……、カネパワー」



祐宇と凛は和葉の急変した態度を見て口をあんぐりとさせた。
和葉のエンジンをかけるのはプライドを刺激する事じゃなくて、やっぱり金なんだと思い知らされた瞬間だった。