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「実は彼氏が出来たの!」
最近校内で殆ど会う事のない愛莉がたまたま廊下ですれ違い、手を引き止めてそう報告してきた。
愛莉に彼氏が出来たなんてちょっと意外だった。
拓真を諦めようとしていた時期からまだ日が浅いから。
愛莉と出会った時はお互いライバル心むき出しで仲良くなれそうにないと思っていたけど、栞の件があってから持ちつ持たれつの関係が続いて、いつしか大切な友達の一人に……。
クソ生意気だけど、意外にかわいいところもある。
拓真と昼休みに会っていた時に愛莉が中庭まで追いかけて来なかったら、私は彼女の良さを知らぬままライバル視していただろう。
「うっそ、やったじゃん!」
目を輝かせた和葉はお互いの手を取り、一緒になって新しい恋に声を上げて喜んだ。
「拓真を諦めてから酷く傷付いてて、これからどうしようかなって思っていたんだけど、昔からの知り合いに告白されたの。最初は友達からスタートしたんだけど、いつしか彼の居心地の良さに気付いてさ」
「へぇ、素敵な恋を見つけたんだぁ。羨ましいなぁ」
「……でね、この前デートでネズミーランドに行ったの。見て見て! このスマホケースは彼氏とオソロなの。超可愛くない?」
愛莉はそう言うと、ネズミーちゃんのスマホケースを自慢げに見せた。
だが、そのひと言に一瞬耳を疑った。
「……ん? ネズミーランド?」
そう言えば、最近新しい彼女とネズミーランドを行った人が居たなぁ。
誰だったっけ。
……ま、どっちみち私には関係ないけど。
「オバさんは拓真達が付き合い始めた後からどうしてるの?」
「だから、オバさんじゃないっての!」
「チッ……。和葉さんはどうなの? 仲良さそうにしているあのイケメンとはうまくいってるの?」
「(チッ……は余計だな)あの人とはそんな仲じゃないよ」
「残念。でも、和葉さんも失恋から立ち直れる日が来るといいね!」
愛莉はそう言って最後に笑顔で手を振り、去って行った。
いっ時はライバルだったけど、今は新しい彼氏をゲットしてしっかり前を向いて歩んでいる。
心を強く持って逞しく生きている愛莉に少し元気付けられた。



