LOVE HUNTER



「……私、幼い頃から欠乏していた愛を満たす為に数々の男を落としてきた。寂しい時は常に男がいた。そんなクズみたいな生き様でも人生を震撼させるほどの転機が訪れた。一人は四人目の新しい父親。そして、もう一人は……」

「あいつだろ?」


「そう、拓真。本気で好きになるまで、こんなに心穏やかな幸せがあると思わなかった。でも、この恋心をもっと育てていきたいと思っていた矢先、上手くいきかけていた関係は呆気なく崩れた。恋に惨敗したけど、幸運な事に敦士という救世主が現れたの」

「ははっ、俺か」


「うん……。最初はチャラくて鬱陶しいなって思ってたけど、辛い時にはサッと手を差し伸べてくれた。敦士に寄りかかれれば気持ちが楽になる事もわかってる。だけど、それは恋じゃない。それに、敦士が大切な人だからこそ真摯に向き合いたいと思ってる。気持ちに嘘をついて付き合ったとしても、好きになる自信がないの。だから、ごめんなさい……」



気持ちを全て吐き出した和葉はそのまま深く頭を下げて、竦めている肩を震わせながら涙を零した。



正直、自分が情け無くて申し訳なく思うあまりに下げた頭が上げられない。

私、最低……。
想いを寄せてくれている人にこんなひどい仕打ちをするなんて。
それに、敦士は救世主だから傷付けたくないって思っていたのに。

でも、きっとこの答えは間違ってない。
万が一、返事をイエスにしてしまったら、私達は幸せを噛みしめるどころか、地獄の底へと叩き落とされてしまうだろう。



ところが、気持ちが追い込まれている和葉とは対照的に、敦士は前を向いたまま鼻で軽く笑った。



「ははっ……。お前ならそういう返事をするんじゃないかって大体予想してた」

「え……」



予想外の返答に、涙で頬を濡らしていた和葉は顔を見上げた。



「ごめん……。実はわざと返事を急かしたの」



目を細めて寂しそうに潤ませてる敦士の瞳には、両目から涙を滴らせている自分の姿が映し出されている。



「それって……」

「だってさぁ。俺がお前に夢中な事を知ってるくせに失恋の相談するんだもん。最初はお前の悩みを聞くように友達から任されたけど、その後からは親友かって思うくらい気持ちを吐き出していただろ。それは、俺を男として見てくれていなかった証拠だし」


「だって、敦士が話しやすい雰囲気を作ってくれたから……」

「いや、お前には寄りかかる人が必要だっただけ。告白の返事は半分意地悪で催促したけど、もう半分はマジだったから。それだけは勘違いしないでね」


「……うん、わかってる」

「俺の支えがなくても平気だと思ったから勝負しようかなって思っただけ。それに、これ以上隣にいたらお前は悩みを増やしちゃうだろ」


「そんな事ない……。敦士が毎日支えてくれたのに、前向きに頑張れなかったよ」

「いや、今日まで十分頑張ってきたじゃん」



そう言って敦士はニコリと微笑み、和葉の髪をクシャッとした。