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「お金なんて要らない。男なんて要らない。もー、やりたくない」
拓真との心の距離がなかなか近付けない和葉は、自分の席に座って囲んだ両腕の中に顔を埋めて負の三拍子の言葉を口にした。
街を歩けばナンパの嵐。
その辺の男が放っておくはずのないこのモテ女の私が年下男如きに振り回されている。
あいつにとって私は雲の上の存在なはずなのに、毎日一時間毎に会いに行って手を尽くしきっても、ほとんど成果が表れないなんて。
基本プラス思考だけど、今回ばかりはさすがに傷付いたよ。
ここまでがむしゃらに男を追いかけた事なんてないのに。
特にここ二週間は、青春真っ只中の人生の大事な時間をあんたの為に捧げたのに。
まぁ、半分は自分の為だけど……。
あー、頭にくる。
刺々しい態度にイラつきながらも散々抑えてきたけど……。
もう、嫌。
お金の為とは言え、無意味な疑似恋愛の賭けがバカバカしくてやってられない。
距離を縮めようとする度に、モテ女としてのプライドが傷付いていく。
偽物の独占欲は、現実を目の当たりにした和葉の闘争心に火を点けた。
祐宇と凛は、和葉の落胆している様子を見ると、どう励まそうかとお互い目配せをした。
和葉の正面に座っている祐宇は言った。
祐宇「メガネくんとの恋はハードルが高過ぎた?」
和葉「……そうやってプライドを刺激しても、あいつの所には行かないよ」
凛「結構お似合いだと思ったのに」
和葉「見当違い。あいつの性格はとんでもなくブサイクだから」
うずくまった顔を見上げないほどふてくされている和葉は返答も可愛げがない。
祐宇「(自分は性格美人だと思ってるのかなぁ)何か手助けになるような知恵や手を貸そうか?」
和葉「要らない。……って言うか、そもそもあいつに興味がないから」
祐宇「ふーん。じゃあ、私が貰っちゃおうかなぁ」
祐宇は和葉の反応を見る為にわざとカマをかけた。
すると、和葉はガバッと顔を起こす。
和葉「祐宇はいま二股かけてるのに、次は三股でもするつもり? それに、あいつは異常なくらいカタブツくんで絶っっ対落ちないから、それで良ければどうぞご勝手に」
再び不機嫌になって腕の中に顔を埋める和葉に、祐宇と凛は再びキョトンと顔を見合わせた。



