和葉達が屋上に到着すると、敦士はレジ袋とお弁当箱の袋を床に置いてからブレザーを脱いで床に敷いた。
そして、ブレザーの方へ手を差し伸べる。
「ブレザーの上に座って。ここでメシを食うから」
「えぇっ、そんなの無理! 屋上は風が吹きさらしだから、ブレザー脱いでいたら敦士は寒くて風邪引いちゃうよ。それにブレザーが汚れちゃう」
「いいのいいの。俺なら寒くないし、ブレザーなんて汚れても構わないよ。それより、お姫様には丁寧に扱わないとね」
まるで紳士のように扱う敦士。
和葉の両肩を掴むと、云々言わさずブレザーの上に座らせた。
「……ありがと。なんか、友達の頼みを聞いてもらった上に、こんな配慮までしてもらっちゃって悪いな」
「これ、俺のアピールポイントだから忘れないで」
「もう! いつも下心を丸出しなんだから!」
大事に扱ってくれて少し恥ずかしかったから、最後はふざけて照れ臭さを誤魔化した。
敦士は地べたに座って、持参したお弁当袋を再び手に持って、和葉の目の前に差し出す。
「ほら、コンビニのパンよりこっちの弁当食って」
「だって、このお弁当は敦士の……」
「いーのいーの。その代わりパンを貰うわ。お前は栄養不足だからそんなに痩せてるんじゃねぇの? さっき倒れかかった時、空気みたいに軽かったから、きちんと栄養摂って健康に少し太らないとな」
「でも、家族がせっかく敦士の為に作ってくれたのに……」
「俺は十分栄養が足りてるから遠慮なく食っていいよ」
敦士はニカッと笑い心配と気配りを届けた。
和葉は敦士が自分の身体を心配してくれてるのにも拘らず、断り続ける訳にもいかない。
だから、敦士の計らいを素直に受け取る事に。
「ありがと。じゃあ、遠慮なく頂くね」
和葉は受け取る気持ちが固まって、早速お弁当箱の蓋をパカっと開けてみると……。
卵焼き、豚肉の野菜巻き、サツマイモの甘煮、きんぴらごぼう、ピーマンの肉詰め、ブロッコリーにミニトマトなど、まるで店に並んでてもおかしくないくらい、彩りとセンスのいいおかずが収まっていた。



