LOVE HUNTER



和葉は会話に繋がりそうなこのチャンスに賭けた。
すかさず得意な猫撫で声で拓真の腕に手を絡める。



「こわ〜い、拓ちゃん。怒っちゃ……や〜だ!」



一度凍りついてしまった場の空気を和ませようと思い、和葉なりに機転を利かせて甘え口調で絡んだ。



だが、拓真は再び和葉の手を勢いよく振りほどき、唾が振りかかりそうな勢いで怒鳴り始めた。



「勘弁してくれっっ! 俺はあんたみたいなチャラいギャルに興味はないから、心ん中に土足でズカズカ入ってくんな。それに、俺はどっちかって言うと、あんたの友達みたいな清楚系が好みなんだ!」

「えっ、あんたの友達? ……と言いますと?」



拓真からまさかの返答が返ってくるなり、ハテナが思い浮かぶ。



え……。
何で私の友達?
しかも、私の友達の清楚系って事は、まさか祐宇の事を言ってる?

祐宇を知ってると言う事は、メガネくんは私達を校舎の何処かで見かけたって事?

だとしたら、少しは意識が向いてくれた証拠だし、アピール作戦は少なからず成功してる。



ふっ……。
しかも、祐宇が清楚系だなんてね。
本物を知らないクセに見た目で判断してるんだね。


ププ……、可愛い。
へぇ、清楚系が好みなんだ。
今日まで口を利いてくれなかったから、好みなんて知らなかったよ。

清楚かぁ……。
なら、私も負けてない。


祐宇は見た目が清楚だけど、中身は断然私の方が清楚だもんね。
二股はかけた事ないし、冷めるのは早いけど恋愛には結構熱くなる方だから、こればかりは自信があるかも。

もしそうなら、この勝負勝ちかもしれない。



湧き上がる笑いが止まらなくなって丸めた肩を小さく揺らしていた和葉は、突然鼻高々として大きく胸を張り荒々しく鼻息を吐いた。



「和葉だってこう見えても清楚の清純派だよ」

「……っ!!」


「毎日隣にいたのに気付いてなかったんだぁ。残念〜」



常に自信に満ち溢れている和葉は、怖い物を知らない。



毎日無視され続けていたから寂しくて数日間は病んだけど、やっぱり私は魅力満載で罪な女。



「お前が……、清楚? ……それ以前に清楚の意味知ってんの?」



拓真はプルプルした指先を向けて呆れ眼でそう問い尋ねる。



「お前じゃない。和葉だよ、か・ず・は! あんなに沢山名前を連呼したのに、まだ名前を覚えてないの? 拓ちゃんって、案外記憶力がないんだね」

「〜〜〜っく!」


「清楚の意味くらい知ってるよ。毎日無視してるから和葉の本質が見抜けないの。だから、清楚系の和葉は拓ちゃんのどストライクのタイプかもしれないよぉ」



キャッチボールのように反応が返ってきて調子こいた和葉だが、余計な尾ひれにより火に油を注いでしまう。