次第に彼は遠目から私の姿を発見すると逃げるようになった。
でも、まだ本来の目的が成し遂げていないから彼の後を追いかけるしかない。
そのうち彼は、私の行動を先読みするようになり、昼休みはお気に入りの場所だった中庭から姿を消した。
だから、私は無数のアンテナを張り巡らせて彼を探しに行く。
更に授業の間の短い休み時間さえも、教室から姿を消すようになった。
だから、私は彼の情報を嗅ぎ回って探し出した。
限られた時間が許す限り、ひたすら彼を追って、追って、追いまくった。
そしたら、彼は私から逃げて……逃げて……、そして隠れた。
私の標的になった限り逃さないと決めたし、無駄な時間も過ごさない。
最大限の努力で、最大限の力を振り絞り、最大限の知恵を絞って彼を仕留める予定だ。
追いかけ回し続けていてもストーカーではない。
これがLOVE HUNTERなのだ。
幾度となく執拗かつ積極的に話しかけも、彼は毎回無視。
口を利いてくれなくても、限られた時間の中でフルに存在感を表す。
熱く迫り続ける私と。
沈黙を続ける彼。
両者一歩も引けを取らない。
10日間連続して一時間おきに出現したんだから、そろそろ顔と名前は覚えてくれたよね。
顔を覚えたから逃げ回ってたんだよね。
じゃあ、私の作戦は成功だね。
和葉は自分がしつこくされるのは嫌だが、特別な女だと思っている分、自分の事は棚に上げる。
数日間に渡り追い回している間に拓真への反応がやけに機敏に。
登下校の時や移動教室の時など何気ないひと時でさえ、まるでエスパーのように多数の中から拓真一人だけを瞳に映し出せる。
日常的に繰り返し行われる探偵のような追跡は、続けているうちに無意識に身体が動いてしまうくらい習慣づいてしまった。
短期間で集中的に身辺調査を行なってみたが女の気配が感じられない。
多分、フリー。
だから、一方的にガンガン攻めるだけ。



