今日は栞が畑仕事を手伝ってくれた甲斐があって、予定していた分の作業は早めに終えた。
栞から事前に『話がある』と伝えられていたので、二人で一緒に帰る事に。
私もちょうど話がしたいと思っていたところだった。
玄関を出ると、まだ外は少し明るいが既に夕日は傾いている。
足元にはイチョウの枯れ葉がカサカサと音を立てて舞う。
床一面に敷き詰められた黄色い絨毯を踏みしめながら不揃いに足を進める私と栞。
友達じゃないから単純な会話すら生まれない。
お互い気まずさを味わいながら、駅前にあるファーストフード店に入った。
アメリカン装飾の店内は夕方の時間帯という事もあって、若者が多く騒々しい会話が店内のBGMのよう。
でも、それくらいが丁度いい。
今の二人は通夜のように重く口を閉ざしているから。
一階のカウンターでオーダーしたドリンクを持って二階席に上がり、空いていた真紅のソファに向かい合わせに座った。
栞と二人きりで話すのは今日が初めて。
いざ話すとなると過剰に意識してしまう。
「あの……、和葉さん。ひょっとして拓真の事が好きなんですか?」
栞はいきなりピンポイントな質問をぶつけてくる。
しかし、返答に迷いがないからコクンと頷いた。
「うん。でも、栞ちゃんも好きなんだよね」
「はい。その為に親の反対を押し切って転校しましたから」
そう言うと、突き刺すような力強い目線を向けてきた。
ストレートな返答に拓真への思いが溢れている。
愛莉みたいに感情をぶつけるタイプなら対応しやすいのに、栞は二人きりの状況下でも平静を保っている。
だから、扱いにくい。
「あのね、栞ちゃんに聞きたい事があるんだ」
「どんな話ですか?」
「拓真が非行に走った理由や、栞ちゃんがバイクに轢かれた事はお婆さんから聞いたけど、事故についてもう少し詳しく聞きたくて」
拓真の心の傷の深さが知りたかったから聞いた。
「和葉さんは事故の事を知ってるんですね」
「うん……」
「わかりました。じゃあ、今からお話します」
栞はすうっと大きく息を吸うと、拓真の過去について語り始めた。



