LOVE HUNTER




朝も昼も拓真と話すチャンスを失ってしまった私は、放課後の時間に全てを賭ける事に。


しかし、これには一つだけ欠点が……。
また先に敦士が現れたら計画は白紙になってしまう。
とは言え、それを恐れて実行しない訳にいかない。

『三度目の正直』ということわざがあるように、二度失敗の後の成功に期待を抱いていた。



拓真の心境変化があからさまになって喜ばしい反面、口を利いてもらえないのは正直辛い。
どんなに些細な事でもいいから会話を成立させて、瞳に私の姿を映して欲しいと思っている。

それに、昼休みに拓真と一緒に過ごすはずが、敦士の出現によって誤解を招かざるを得ない状況を作り出してしまった事に後ろめたさを感じていた。




終礼を終えると、既にまとめてある荷物を片手に教室を飛び出しして、いつものように先回りして拓真のクラスの下駄箱で待った。


壁に背中をもたれさせている間、少し胸がドキドキしていた。
また先に敦士が来てしまったらと思うと……。



暫く一人で待っていると、拓真はいつもと同じように下駄箱に現れた。

どうやら一緒に帰る気はあるらしい。
しかし、ほんの一瞬だけ目が合うと、ムスッと不機嫌な様子を見せた。

だから、聞いた。



「ねぇ、怒ってるの?」

「別に……」


「じゃあ、何でそんなに素っ気ないの?」



上履きをしまって靴を床に落とした拓真の顔を覗き込んで目を合わせようとしたけど、無表情を保つ。
誤解を解きたくてしつこく腕を引っ張ったけど、まるで無視。



ヤキモチは思った以上に重症なのかな。
もしそうだとしたら、頭の中でファンファーレが鳴り響くんだけど……。

拓真と約束している中庭に敦士と二人きりでいたから、私の気が敦士に向いたと勘違いされちゃったのかな。



和葉の不安は苦しさが増していく一方。



「拓真ぁ……」

「……」



隣から反省の色を滲み出しても完全無視。
拓真は靴を履くと、昇降口から黙ったまま先に出て行ってしまった。



そんなぁ……。
関係はまたふりだしに?
ここまで心の距離を縮めたのに、スタート地点に戻されるのだけは勘弁だよ。



全く相手にされず、じんわりと涙が浮かび上がってきたが、拓真の気を引く悪知恵がふと思い浮かんだ。



「あいたたっ……」



和葉は怪我をしている左肘を押さえてその場にしゃがみ込んだ。

本当は一晩経って痛みはだいぶ引いたが、今はこうするほか気を引く作戦が思い浮かばない。



「もしかして、昨日の怪我が……」



拓真はそう言って、血相を変えて振り返った。
気を引く作戦は見事に成功する。