基本、受付は一人。
だけど、今日はたまたま男店長が受付の横を通りかかったので、しつこい客に気付いてくれた。
「一ノ瀬さん。いま一ノ瀬さん宛に電話がかかってきているので受付を交代します」
「すみません。いま行きます」
持ち場を交代して男に背中を向けると、舌打ちが耳に入ってきた。
気分は害されたけど、足早に休憩室へ。
男性客とのやりとりを遠目から見ていた他のバイト仲間は、休憩室に戻る和葉に心配の言葉を口にした。
「ホント、あの客しつこいよね。和葉ちゃん気をつけてね。何かあったら助けに行くから」
「……はい」
受付に戻ってからも、男がいるカラオケルームから、しきりにドリンクのオーダーが入る。
まるで自分達の部屋に私をよこせと言わんばかりに。
でも、仲間が代わりにあの男の部屋に行って対応してくれた。
抜群のチームワークによっていつも救い出されている。
容姿端麗が故に身の毛がよだつ思いをする事も度々ある。
決していいとこ取りだけをしている訳ではない。



