ーーそれから30分後。
久しぶりに家族三人で食卓を囲んだ。
家族揃って食事をするのは、いつ以来だろうか。
両親は何事もなかったかのように、冷静に食事を進めていた。
一切口を開かないのは、娘に嫌なところを目撃されてしまったからだろうか。
それとも、冷戦はまだ続いているのかな……。
もし二人が離婚をしたら……。
おじさんの手料理は二度と食べられなくなっちゃうのかな。
昔の父親みたいに会えなくなっちゃうのかな。
私、また一人ぼっちになっちゃうのかな。
和葉は両親の喧嘩をしてる姿を見た直後から、嫌な事ばかりが過ぎって気持ちが不安定になっていた。
愛情たっぷりの味噌汁が今日はやけにしょっぱく感じて目に涙が浮かぶ。
父親はそんな和葉を見ると、胸が窮屈に締められていく。
「ごめんね。真っ直ぐ帰って来てくれたのに嫌なところを見せてしまったね」
おじさんは反省して謝ると、お母さんも続けて口を開いた。
「和葉、ごめん。本気で喧嘩をしてたわけじゃないから。…………うっ、ゴホッゴホッ……」
「葉月、大丈夫?」
「えぇ……。ちょっと台所に行って炭酸水でも飲んでくるわ」
席を立った母親は、よろよろした足取りで台所に向かった。
一方の和葉は、呟くように謝った母親のひと言によって瞳に溜まっていた涙が一粒こぼれ落ちた。



