LOVE HUNTER




テレビの速報に出ていた暴風波浪大雨警報は未だに解除されていないが、雨が弱まった隙を狙って拓真は声をかけた。



「さて、少し雨が弱まってきたから帰るか。駅まで送るよ」



時計の針は午後3時過ぎをさしている。
時間的にはちょっと早いけど、悪天候の中帰宅が遅いと父親が身を心配すると思ったので少し残念だけど素直に帰る事に。



和葉は荷物をまとめて玄関を出ると、あっという間に風に巻き込まれ、はためいているスカートが一瞬で雨に濡れた。
一歩一歩足を進める度に湿ったスカートの重みが増していく。



「あーっ、もう! 風でスカートがめくれちゃいそう。オシャレして来なければ良かった」

「モンペのまま帰れば良かったのに」


「あのねぇ、さすがにそれは無理。唐草模様のモンペを履いて2時間も電車に乗ってなきゃいけないの? オシャレにうるさい私が我慢出来ると思う?」

「いっその事、お前がファッションリーダーになればいいだろ」


「もう! 人ごとだと思って……」



ビュンビュンと押し寄せてくる向かい風はおしくらまんじゅうのよう。
今にも傘が折れてしまいそうなくらいの勢いに。

傘をさしてるのが無意味に感じるくらい、全身は雨でびしょ濡れになった。
斜めに傘を傾けているから、足元まで目が行き届かない。




でも、ふと隣に目をやると拓真も同じ状況に。

短い黒髪は波打つようにゆらゆらと揺れている。
着ている白のロンTは雨がしみ込んでいき、ほんのりと素肌を映し出している。
思わずドキッと反応した。



「拓真の傘に一緒に入りたい」



和葉は風に声をかき消されぬように大きな声で言った。
借りた傘をたたむと、無理矢理拓真の傘の中に割り込んではぐれぬように腕を組んだ。



「……ばっ、バカ! 一つの傘に二人入ったら同時に身体が濡れるだろ!」

「いーじゃん、相合傘くらい。ケチ!」


「せっかく濡れないように傘を貸してやったのに」

「和葉には拓真の傘だけで十分。他の傘なんて要らな〜い」


「……自分勝手だな。風邪引くぞ」

「じゃあ、拓真が風邪を引いたら和葉が添い寝して身体を芯から温めてあげる」


「こんな大変な時に冗談かよ……」

「冗談じゃないよ。マジマジ、大マジ! 手入れの行き届いたスベスベの最高級の素肌が特効薬になるかもしれないよ」


「今日の下ネタは一段と酷いな」



二人は雨に打たれている傘から離れぬよう身を縮こませながらも、いつものように軽く言い争っていた。


ーーすると、その時。