和葉の悲鳴に気付いた拓真は作業の手を止めてビックリした表情で駆けつける。
「どした? 何かあった?」
「よよよ……(幼虫)。むむむ……(虫の)」
声が震えて全部は言えなかったから、腰を抜かしながら幼虫の方に指をさした。
すると、拓真は怯えてる原因に気付く。
「なんだよ。何事かと思ったらただの幼虫じゃん。こんな事で大声出すなよ」
「だってぇ……。普段から幼虫を見慣れてないから怖かったんだもん」
拓真は腰が引けている和葉を見てため息をつくと、和葉の両脇を抱えて身体を起こした。
「はぁ〜。……ったく。お前はもう本当に役に立たないな。もう球根の植え付けはしなくていいから婆ちゃんが蒸した芋でも食って来い。ちなみに、先週収穫した芋だから」
「全く役に立たなくてゴメン」
「本当にお前はクソだな」
「クソはないでしょ。失礼ね!」
さっきはベッドでセクシーな瞳で迫ってきたのに、関係がふりだしに戻った途端、いつものように心無いひと言。
結局、私のせいで午後のスタートが遅れた上に、幼虫の件で足を引っ張ってしまった。
だから、拓真は私の分まで作業をしてくれている。
遠目から見てもイライラしてるのが伝わる。
こんな時は妙に手際がいい。
私が手伝っている時よりも断然早い気が……。
軍手を外してから母屋の縁側に腰をかけて、蒸し芋をお婆さんの隣で一緒に食べた。
すると、お婆さんは畑に目を向けながら、突然拓真の過去の話を始めた。
「もしかしたら写真を見て気付いたかもしれないけど、あの子はこの前まで暴走族に入っていたの。辞めてからまだ一年経ってないわ」
「うん、この前ちょっとだけ聞いたよ」
「手がつけられないほど荒れていてね、悪い仲間と一緒に喧嘩三昧の日々を送っていたの。警察には随分世話になったわ。今はだいぶ落ち着いたけど」
「どうしてそんなにグレちゃったの?」
以前、拓真から詳しく聞けなかった過去の話を聞くチャンスが訪れたので、お婆さんの話に引き続き耳を傾けた。



