LOVE HUNTER




今日も募りゆく不満と戦いながら、引き続き拓真のクラスの扉に隠れて観察をしている。

もちろん、趣味でやってるわけではない。
拓真がサラリとフり続けた結果、こうなっただけ。



拓真に熱烈な目線を向け続けていた事に気付いたのか、群がるメスどもの一員の女と目が合った。


その女は、髪はストレートロングで色白のあっさり系美人。
拓真が好みと言っていた清楚系だ。

しかし、女は視線がぶつかった瞬間、ニヤリと挑発的な目つきに変わり、和葉に知らしめるかのように拓真にベタベタとボディタッチを始めた。



「ねぇ、拓真ぁ。スマホアプリで何か面白いゲームある? おススメがあったら教えて欲しいの」

「坂月さん、何系のゲームが好きなの?」


「えっとぉ、普段やってるのはパズル系かな。実は、ちょっと頭を働かせるような探偵系のゲームが好きなの」

「あー、俺も一緒。今ハマってるのが……」



残念ながら、拓真は女の話に食いついてしまっている。

吸盤のように扉に貼り付いている私の存在に気付かない拓真は勿論ムカつくけど、他の女の会話に食いつく姿はもっと許せない。




くぅぅ、最悪……。
拓真の席は窓際。
目をつぶって耳を澄ましてもどんな会話をしてるかわからない。

しかも、女が馴れ馴れしく肩に手を触れても、拓真は拒否したり嫌そうにしてない。

もし、あれが私だったら、「近付くな、アホ。お前と俺の距離は3メートルだ」とか言われて、すぐに引っぺがされるのに。



「ちょっとちょっと。私の拓真に馴れ馴れしく触んないでよ。私が先に彼女の座の予約をしてるんだから」



勿論、これはひとり言に過ぎない。
ちなみに彼女の座の予約なんてものは存在しない。
和葉は震えた指先で扉を強く握りしめた。



今まではライバルがいない分気を抜いていたけど、今はもう違う。
拓真の周りに集るメスどもが自分の彼氏にしようと狙っている。



感情が掻き乱れても、毎回蚊帳の外の現実に思わずため息が漏れた。



こんなんでもつのかな……、私。
拓真にとっては何でもないような事でも、私にとってはこんな小さな事でさえ我慢出来ない。



和葉はチャイム音と共にショボくれた足どりで教室へと戻って行った。

しかし、たまたま廊下に目線を向けた拓真は、肩を落としながら廊下を去って行く和葉の後ろ姿を捉えていた。