LOVE HUNTER




ーー同日の放課後。

和葉は拓真のクラスの下駄箱前でブツブツ言いながら壁を蹴りつけていると、不機嫌な理由さえ知らない拓真は下駄箱に到着するなり尋ねた。



「何か、気ィ荒れてるみたいだけど。……帰らないの?」



目を閉じていれば何でもないようなひと言。
だけど、目を開けた途端何故か気持ちが翻弄されてしまう。



会う直前までは絶交を言い渡そうと思っていた。

絶対許さないって。
もう二度と喋らないんだって。
この私にヤキモチを妬かせたから絶交だって。

それなのに……。
拓真の顔を見た瞬間、強い決意を忘れた。



「いま帰りま〜す♪」

「お前の機嫌はカメレオンか。さっきまで壁を蹴り飛ばしていただろ」


「いやだなぁ、そんなはしたない事なんてしてないってばぁ。さ、早く帰ろっ!」

「……」



やっぱりメガネ無しの拓真には勝てないみたい。
結局は惚れたもん負け。



和葉は拓真の背中を追って昇降口を出て行くと、拓真を見た他生徒がわぁと驚いたように次々と注目していく。

女子達の羨む視線に快感を覚えて鼻高々の和葉だが、拓真に振り回されていく一方だとも思っていた。



平日の10分間に全てを賭ける私。
交際までこぎつけるには、この貴重な時間で愛を育くんでいくしかない。


だけど、10分間は短過ぎる。
換算してみると、10分×5日=50分+日曜日のα。
私の魅力を存分に魅せつけるには、全然時間が足りない。



でも、以前は私なんて眼中にないような足取りだったけど、一緒に帰るようになってからは私の歩幅に合わせてくれるように。

ほんの小さな進歩だって、心の距離が近づいた喜びをしっかり噛みしめている。