早速プリントをかき集める和葉。
次いで、軽くかがんだ拓真も和葉の目論見通り一緒に拾い集める。
廊下に散乱したプリントは20秒も経たぬ間に拾い上げられて、二人の手中へ。
拓真は床にトントンと叩きつけてプリントの角を揃えた。
そして、しゃがんでプリントをまとめている和葉の左前方から、サッとプリントを向けた。
メガネは廊下から差し込んでいる光が反射していて、レンズの向こうまではよく見えない。
口角はニンマリしたように軽く上がっていたので、一瞬拓真が微笑んでいるように見えた。
だから、和葉もつられて微笑む。
「大丈夫?」
「あっ、だいじょう……」
「……って、言って欲しかった?」
拓真はまるで手のひらを返したかのように、冷ややかな目線を下ろして30センチ近くまで顔を寄せた。
和葉は唯ならぬ空気に身体が固まる。
まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。
和葉は間近で拓真を見るのは初めてだった。
スッと通った鼻筋にシャープな顎。
切れ目な二重に、少し厚みのある唇は薄ピンク色でぽってりしていてセクシー。
美しいフェイスラインはつい見惚れてしまう。
「え……」
「へぇ〜。あんたは偶然を装ってまで俺と出会いたかったの?」
気配と息が顔に届く。
昨日は二枚のお札のように見えていたはずのレンズ内に、困惑している私の姿が映し出された。
圧倒的な雰囲気にビビってしまい、額に滲む冷や汗が顎に向かって流れ落ちる。
「……そ、それは」
「光栄だな。でも、同じようなパターンを何度も経験済みなんだよね」
「……うっ」
「あんたも他の女と一緒で平凡でツマンナイ女なんだろうな」
ツンツンした可愛げのない態度をとるメガネくんは、年下のクセに偉そうに上から目線。
出会って直後のツンデレ攻撃は、出会い方の失敗と共に幕開けされた。
なに、コイツ。
ムカつく~~~!
一つ下の子供だから、まだ大人の女性というものがまだわかってないようね。



