「1年3組 弘崎 拓真(ひろさき たくま)ああぁぁ……。私、一ノ瀬 和葉(いちのせ かずは)はあなたの彼女になりたいから付き合って下さい! お願いしまあぁぁ……す」






ーー額に汗が滲む残暑が続き、日差しが強く照り続ける天気は快晴。

都心から少し離れた街中の公立高校で、朝から全校集会がある日の今日、校庭に生徒達が集まる中で校舎の屋上からたった一人の男に愛の言葉を叫ぶ。





……いや、正しくは愛の言葉じゃない。

そこに感情なんてものは存在しないのだから。





私が大胆なのは今に始まった事じゃない。


キラリと光る肩までの金髪
猫目に見えるつけまつげ
濃いめのアイライン
チェリーピンクのリップ
第二ボタンまで開いてるワイシャツの上に垂れ下がっているリボンの奥にはシルバーネックレス
スカートは膝上20センチ
ラインストーンの入ったブラックネイル


恵まれた美貌にEカップでスタイル抜群の身体。
顔の美しさは国宝級。




私にとって男は使い捨てカイロ。
温まったらそれで十分。
温もりが消えるまで持ち続ける必要はない。


そんな私の事をみな口を揃えて言う。



その名も LOVE HUNTER(ラブハンター)

一ノ瀬 和葉
高校二年生 17歳



さて、どうして私がいま全校生徒が見てる屋上から告白をしているのか。
モテ女にもかかわらず、こんな苦労しなきゃいけなくなってしまったのか。


まずは、ここまでの経緯(けいい)を説明しましょうか。