「こういうことも、他の男にすんなりさせんな」
「っ……」
鋭い視線で見下ろし、拘束した腕を解いて、顔の両サイドを塞ぐように壁に手をついた。
「こういうのもさせんな」
「……うん」
彼女が俺にさっきしたみたいに、優しく頬を撫でる。
「もちろん、これもダメ」
「っ……ん」
そして、その指先は獲物を狙うみたいに、小さく柔らかい場所を射止めて。
「ここも、……触れさせんな」
「……ん」
レクチャーするように彼女に警告する。
警戒心を植え付けるためにも。
顎をクイっと持ち上げ、視線を合わせて。
「当然、これもダメ」
「……ん」
暫しじっと見つめると、くりっとした大きな瞳に俺が映るのが見えて、ほんの少し満足しながら……。
「この先は、……俺だけが知ってればいい」
「っ……んッ……っ……ん」
手取り足取りレクチャーした報酬を回収する。
だって、大きな瞳が潤んで俺を見てるっての。
この特別な瞳は俺だけを見てればいいと思ってしまうほど、吸い込まれて。
小さいながらもぷっくりとした柔らかい唇は、キス心地がいいとお墨付きで。
その小さな唇から僅かに零れ出る声が、堪らなく感情を掻き立てる。
「んもうッ!こういうの無しって言ったじゃない!」
「了承した覚えはないけど?」
「え?」
「彼氏になってやるんだから、キスくらいいいだろ」
「よくないって!」
「俺のキスが?」
「え、あっ、そういう意味じゃなくて……」
「じゃあ、キス心地はいいんだ」
「……え?……ん?」
「分からないなら、よく確かめろ」
「んっ……ッ……んッ……」
ヤバい、やみつきになりそう。
少しは抵抗しろ、抵抗を。