ひまりだから……。
嬉し過ぎる言葉。
描き手にとって作風ってそうそう変わらない。
技法や画材を変えて、幾らタッチを変えても、全体的な雰囲気は中々変わるもんじゃない。
それは感性がそうさせるからで。
それこそ、失恋しただとか、誰かを愛したとか。
裏切られた、切なくて苦しいだとか。
激情に似た感情のまま筆を走らせたら多少は変化するかもだけど。
人間、そんな簡単に感性が変わるものじゃないから。
「紙、貰うぞ?」
「どうぞ」
机の上にあったメモ帳とペンを手にして何やら書き始めた彼。
そんな彼の隣に座って覗き込むと、そこにはさっき言ったようなモチーフになる題材が沢山記されていた。
「この中から好きなやつを選んで、好きなだけ描いて」
「画材は?」
「何でもいい。それも込みで自由に、想像を膨らませてひまりらしい作品を」
「いつまで?」
「……永遠?」
「え?」
「これからずっとっていう意味」
「え、ちょっ、……どういうこと?」
「俺の専属でっていう意味」
「……専属……?」
言ってる意味が分からない。
何が専属なのかも分からないけど、何で私に描かせたいのかもさっぱり分からない。
「とにかく、……描いてみて」
「うん、……分かった」
彼がして欲しいならしてあげたい、何でも。
「ひまりも」
「ん?」
「曲作って欲しいなら、言って?」
「え、私はいいよっ!『SëI』のリリースされてる曲で十分だもん」
「独り占めしたいとか、……そういうのは無いわけ?」
「っ……、今でも十分すぎるもん」
「もっとわがまま言っていいのに」
「じゃあ、……録音させて?」
「歌ってるとこ?演奏?」
「ううん、そういうんじゃなくて」
「ん?」
「ひまり、朝だよ。起きて……って起こされたい」
「フフッ、そういうやつね」



