「そんなに欲しかったのか?」
触れるだけのキスなのに、恍惚の表情が何とも言えず……。
ひまりは俺の問いかけに恥ずかしそうに小さく頷く。
そんな彼女をじっと見つめ、胸の奥がじんわりと暖かくなる。
「もっといいもんやろうか」
「……へ?」
ポケットの中からプレゼントを取り出す。
「……開けていいの?」
「ん」
彼女は嬉しそうに箱を開けた。
「えっ……」
「着けてやろうか」
「………ん」
箱から小さなそれを取り出し、彼女の指に嵌める。
俺が自ら作ったシルバーリング。
彼女の指にはかなりゴツい感じになるけど、それがマーキングでもあるから。
この子には、彼氏がいるって。
俺らが通う学校は、校則がかなり緩い学校だ。
私立の中でも結構学費が高く、通う生徒はかなり特殊な部類と言える。
だからこそ校則も緩く、ピアスをしていても怒られず、化粧をしようが髪を染めようが文句を言われない。
芸能界という地位で活躍してる人も多く、役柄でそれらをしているからだ。
だから、彼女が指輪をして登校しようが恐らく誰も文句は言わない。
言われるとしても『彼氏が出来たの?』くらいだと思う。
「じゃーんっ」
「えっ?!」
「おそろ」
ギターやベースを弾くために指には嵌めれないから、チェーンに通して首に掛けている。
彼女のと同じデザインのサイズ違いのリングを。
8ミリ幅で少し分厚い甲丸リングに龍がグルっと飛んでいるような。
鱗っぽい羽っぽい感じで、わざと龍の顔は避けてある。
龍だって分かるくらいだとそれこそパンクのバンドマンにでもなったように見えてしまうから。
そこら辺は彼女の雰囲気に合わせて、天使寄りに模している。



