「じゃあ、そろそろ着替えておいで。店長はもう少ししたら来るから、着替えたあとでみんなにも紹介するね」


菜々緒さんから制服を受け取り、真菜とともに更衣室に向かう。
更衣室は、三畳ほどのスペースにロッカーが並んでいるだけの殺風景な部屋だった。


「ロッカーはふたりでひとつだから、美波は私と共用だって。一応、鍵はかけてね」

「うん、わかった」


彼女と共用なら変な気を遣う必要もなく、安心できる。
ロッカーの鍵を受け取り、テキパキと着替えた。


ビヨンドの制服は、白いシャツにブラウンの膝丈のスカート、そしてパステルオレンジと白のチェックのエプロンだ。
たとえるのなら、カントリー調のデザインという感じだった。


靴は自前のものでいいらしく、真菜のアドバイス通りローファーを持ってきた。
髪はひとつに纏める決まりなのだとか。


慣れた手つきで髪を結ぶ彼女に倣うように、私もミディアムボブの髪を後ろで一纏めにした。


学校以外の制服を着るのは初めての私は、なんだかソワソワしてしまう。
着替えてから見た鏡を前にして、気恥ずかしさでいっぱいになった。