「適当にスルーしないところが、真面目な美波らしいよね~」

「適当って……どうすればいいのかよくわからないし……」

「でも、嫌だったら既読スルーでもよくない?」

「それは……」

「そうしないってことは、美波も満更じゃないんでしょ?」

「あのね、そういうのじゃなくて……」

「うん?」

「輝先輩とは境遇が似てるから、変な気を遣わなくていいっていうか……」


真菜は空気を読むように微笑み、「そっか」と零した。


彼と私の今の環境が似ていることは、彼女だってわかっているはず。
だからなのか、それ以上は追及してこなかった。


「まぁ、美波が嫌じゃないならよかった。せっかくだから、自分から遊ぼうって言ってみたら? 喜んでくれるかもよ」

「そんなことしないよ。輝先輩だって、別に遊びたいとか思ってないだろうし」


その言葉に、胸の奥がチクチクと痛んだ。


なにも傷つくことなんてないはず。
それなのに、自分で自分が発した答えに落ち込んでしまいそうになる。


だけど、そこを深く考えるのはやめて、スクールバッグを持った。