専門学校に通い始めた真菜とは、相変わらずバイト先で頻繁に会っているから、お互いの近況はちゃんと報告し合っている。
もうすぐ、木村先輩と同棲を始めるらしい。
なんだか大人に思えるけれど、幸せそうな姿を見ていると羨ましくもあった。


だけど、私だって幸せだ。
お互いの彼氏には秘密だけれど、密かにふたりでよく惚気合っている。


「とりあえず昼ご飯だな。そしたら、校内を案内してやるよ」

「うん」


輝先輩と手を繋ぎ、キャンパス内を歩く。


「今日、結構暑いな」

「まだ四月なのにね」

「もう初夏みたいだよな」

「プールとか行きたいかも」


自然と零れていた願望に、彼が嬉しそうに笑う。


「じゃあ、今年の夏のデートはプールだな。海も行くか」

「うん、いいね」


青空の下、数ヶ月先の未来のことを話して笑い合う。


もうすぐまた夏がやってくる。
好きだったけれど、大嫌いになって……。そして、今は大好きな夏が――。



【END】


Special thanks!!


*Date*
2022/09/01 執筆開始
2023/01/31 執筆完了
2023/02/01 完結公開


※この作品は、ノベマ!・アルファポリスでも公開中です。