翌朝。
私は念入りに身支度を整えた。


今日は寒くなるという予報が出ていたから、できるだけ暖かい格好で。
だけど、輝先輩に会う時にはやっぱり可愛い服を着ていたくて、雪のように真っ白なニットに膝丈よりも少しだけ短いスカートにした。


コートも、ニットに合わせてオフホワイトにする。
気持ち程度だけ厚さのある黒いタイツにショートブーツを履いて、マフラーと手袋で防寒対策をして。
真菜とお揃いで買ったバッグを持って、緊張感を抱えながら家を出た。


待ち合わせ場所は、学校の最寄り駅にした。
知り合いに会うかもしれない……と思ったけれど、今は彼とどんな風に話せばいいのかを考えることで精一杯で、そんなことはすぐにどうでもよくなった。


駅に着くと、輝先輩の姿が見えた。
彼がちゃんと来てくれたことにホッとする。


まだ緊張でいっぱいなのに、なんだか胸が詰まって泣きそうになってしまった。


「美波」


輝先輩がすぐに私に気づいて、優しい笑みを浮かべた。
心なしか、彼も安堵しているように見える。


「あけましておめでとう、って言うべき?」

「そう、なのかな? えっと、あけましておめでとう」

「うん、おめでとう」


ぎこちない挨拶に、どちらともなく小さく笑ってしまう。
ふたりの間にある気まずさが、ほんの少しだけ溶けた気がした。