二学期が始まっても、しばらく教室内は夏休みの雰囲気が抜けなかった。


授業中に気だるそうなクラスメイトが多かったり、どこか浮き立った空気が漂っていたり。それらを咎める先生たちの姿を何度も目にした。


一方、私は以前よりも真面目に授業を受けていた。
というのも、夏休み中に輝先輩が受験勉強に挑む姿を目の当たりにしていたから、感化されたのかもしれない。


(そういえば、先輩ってどこを受けるんだろ)


夏休み中、頻繁に会っていたのに、彼の志望校について訊くことはなかった。
輝先輩はまだ進学先を決めている様子はなかったし、なんとなくプレッシャーになるんじゃないかと思ったからだ。


(でも、訊いてもいいかな)


そんな風に考えたのは、今日配られた【進路希望調査書】のせいかもしれない。


「明日提出してもらうからちゃんと書いて来いよ」


担任の言葉を聞きながら、ため息が漏れた。


(志望校かぁ)


水泳をしていた時は、当然のように推薦を狙っていた。
正直、推薦をもらえる自信も少しはあった。


だけど、今はもう水泳を中心に進路を考えることはない。


「美波、バイト行こー」


再びため息をついた時、真菜がやってきた。


「進路希望調査とか面倒だよね」


苦笑する彼女に頷きつつ、ふたりで教室を出る。