「おれは、亡くなったクラリスのことを忘れるつもりはない。おれが愛するのは、これからもずっと彼女ただ一人だ。だから、きみを愛することはない。きみは不本意ながら嫁いで来たかもしれないが、きみがおしかけてきたことにかわりはない。悪く思わないでくれ。おれは、けっしてきみを気にかけることはない。だから、きみはきみで好きにするといい。もう一度言う。おれが愛するのはただ一人、それはクラリス・ウインズレットだ。きみではない。きみは、愛されることのない「お飾り妻」として、このウインズレット公爵家で無為の日々をすごせばいい。おれがきみに求めることは、ただそれだけだ」
「もちろん、承知します」

 姉の葬儀が行われた日の夜、ブレントン・ウインズレット公爵はわたしにただそう命じて踵を返そうとした。