それはなんとも奇跡的な偶然、いや運命だったのだろう。
放課後、街が恋人たちで溢れ返る中たまたま立ち寄った駅の構内に併設されているコンビニで、たまたま出くわした薫先輩。
「薫先輩!?!?」
「⋯⋯うわ、最悪」
「え、え、運命ですか!?」
「んなわけないじゃん」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってください!」
見事にあたしをスルーして通り過ぎようとする先輩の腕を掴んで引き止めたあたしに先輩の聞き慣れたため息が零される。
「なに、何か用?」
「どこかお出かけしてたんですか?」
「参考書買いにそこのデカい本屋まで。じゃ、さよなら」
「ままま、待ってください!」
再び歩き出そうとした先輩の腕を更に強く掴んで引っ張る様にコンビニを出た。
温かい飲み物でも買って帰ろうと思ったけれどそれはやめだ。
コンビニの横まで先輩を連れ出したあたしに先輩は心底ウザそうな顔をして見下ろす。
はあ、そんな顔もかっこいい。
てか大学決まってるのに参考書買う勉強家な先輩、偉すぎない?
「で、なんか用?」
そんな事を考えていれは先輩の冷たい声が届いてハッとする。



