──────そしてやってきたバレンタインデー当日。
「ハッピーバレンタイン!はい、どーぞ」
朝、教室で趣里に渡したチョコはココアパウダーをまぶしたチョコ味のクッキー。
大きめのクッキーにはチョコペンで“趣里”と書いたり“名言”と書いたり“大好き”と書いたりしてみた。
「柑奈のチョコってやっぱ騒がしいのね」
それを見た趣里は喜んでいいのかよく分からない言葉を零した後、大きめのそのクッキーをサクッと食べてくれて。
「ん、おいしい」
「本当?よかったぁ」
「ありがとうね、はい、これわたしからも」
そう言った趣里に渡されたのは本格的なアーモンド入りのチョコレート。
若干歪な形をしているあたしのクッキーと比べて6つ全てが完璧な形をしたそのチョコはまるでお店のチョコのようで。
「すご、趣里プロじゃん」
「溶かしたチョコの中にアーモンド入れて固めただけだよ、型に嵌めたから形も同じなだけで」
「え、でも美味しい!」
趣里は簡単に言うけれど、凄いものは凄いし美味しいものは美味しい。
「友チョコって初めて作るからどんなの作ればいいのか分からなかった」
パクパクと貰ったチョコを頬張るあたしに少し恥ずかしそうに呟いた趣里はとても可愛くて、趣里の初めての友チョコを貰えてとても嬉しくなった。
それにこれから先もずっと趣里と友達でいたいとも。
そんな事を考えていれば「そういえば」と趣里が話題を変える。



