麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集

その5
ケイコ



多美と私は服を掴み合ったまま、釣り堀の外へ出た

「おい!やめろって、二人とも。なあ…」

テツヤは”参ったなー”って顔つきで、私ら二人をなだめてる

「おけい、お前は何にもわかってねーよ!矢吹さんの本心もテツヤの葛藤もな」

すでに熱くなっていた私は、聞く耳を持たなかった

「ほうー、ご立派だな、お前。なら、わずかな期間なのによ、病院帰りの私が浦島太郎にされた苦しみもさ、汲み取ってみろっての!」

この時の私は、ただイラついていた


...



退院して学校へ戻ったら、みんな、私を見る目が違う

亜咲さんとはお隣さんで、”あの”伝説のライダーの”後ろにも年中乗っかっていたんだよね、すごいよね…、とか

小学生で”あの”怪物・紅子さんと特別の仲になり、今回、その伝手で南玉連合の危機を救った…、すごい!とか

みんな、口では称賛するけど、はっきり言ってやっかみ半分だ

決して多くはないが、今回の件で私に距離を置く友人だっていた

逆に、今までろくに口を聞いたこともない人達がだ、馴れ馴れしく寄ってくるしよ

私とヨシナになりゃあー、いざって時、南玉連合の女傑達が駆けつけてくれるってか?

そんな下心丸出しで私の顔色を伺ってくるんだ

うんざりだっての!

挙句に無神経な輩に至っては、”なんだ~、まだ南玉入ってないんだー”と、こうだよ!

ふざけんなって!!


...



それで、あの矢吹先輩までも、私を南玉にって…

いや…

だからと言って、多美やテツヤにさっきの態度はよくないよな…

第一、私の今の状況とか気遣ってくれてるよ、こいつら二人は

そうだよな…

冷静に考えれば何てことはない

私のこと、親身に思ってくれてるんだよ、お前らは

二人とも、ゴメン

少し落ち着いたら口に出して謝るからさ

勘弁してくれ…