「サンキュ、充電出来た」
「ん」
「御礼に、………これやる」
「………ん?」

目の前に差し出されたのは翔の拳。
グーで殴られるのかと一瞬思った、次の瞬間。
目の前にシルバー色のペンダントが現れた。

「これって……」
「ファンクラブ限定、シリアルナンバー入りのペンダント」
「………知ってる」
「知ってんの?」
「……ん」

翔には内緒でファンクラブに入ってる。
それも、会員番号『005』と、結構コアなファンなんだよね。
だから、同じものを持ってる。

「……ん?あっ……」

同じじゃないっ!!
これ、レア中のレアだよっ!!
だって、シリアルナンバーが『000』ってなってる!!

「これ、翔の分なんじゃないの?」
「お、何で分かった?」
「番号が、『000』だもん」
「フフッ、バレたか」
「いいの?貰っちゃって……?」
「他の奴に見せんなよ?刺されても知らねぇぞ」
「ありがとっ!!」

嬉しくて、思わず抱きついてしまった。
しかも、初めて正面から……。
だって、ファンクラブに入ればペンダント貰えるけど、この番号は絶対手に入らないもの。

背中をトントンと軽く叩かれ、我に返る。

「ごめんっ、つい嬉しくて……」

翔から離れると、心なしか、彼の顔が少し赤くなってる気がした。

「で、御礼は?」
「え?」
「俺には何もねぇの?」
「………あるにはある」
「どこに?……ちょーだい」
「これなんだけど」
「おっ、お守りじゃん!凜の手作りだよな?」
「ん」

数学は不得意だけど、裁縫は意外と得意。
編み物も結構好きだから、翔には色々作ってプレゼントして来た。

「サンキュ~、大事にするな」
「っ……」

揶揄う素振りは見せず、本当に嬉しそうに眺めてる。
彼に怪我や病気が起こりませんように……。