早朝にも関わらず、既にマシンの調整をしているチームがいたり、既に練習を終えたのか、朝ご飯を食べてるチームもある。
そんな選手たちを眺めながら、久しぶりに見る本物の臨場感に圧倒されていた。
「凜ちゃん、お待たせ~」
「翔に会えました?」
「うん、朝ご飯食べてたよ」
「そうなんだ」
「砂埃が舞わなそうで、観戦しやすい所を見つけておこうか」
「はい」
元プロモトクロスライダーの翔パパは、コースを見ながら良さそうな場所を探し始めた。
私が同行しているから、翔のチームテント内では過ごせない。
だから、チームから借りて来た折り畳み椅子を持って個人観戦する予定。
「あの辺が良さそう。水溜まりも近くに無いから泥が飛んでくる心配もないよ」
「私、汚れても大丈夫ですよ?」
「いやいや、後で翔に怒られるから」
「あ、………そういうことか」
幼い頃から練習や大会に何度も付き添って来た。
だから、泥んこになるのには慣れている。
だけど、翔は私が泥んこになるのを酷く嫌がるんだよね。
ホント、過保護なんだから。
***
三十台以上が一斉にスタートし、コーナー目指してフルスロットル。
土をかき上げながら疾走し、一つ目のコーナーをノンブレーキで突っ込んでいく。
ブレーキで減速すると、その後の加速に後れを取るため、ギアを落としエンジンブレーキを効かせたり、重心を移動して僅かな減速を図るのがプロのテクニック。
ジャンプスポットで跳ね上がった車体は重量100kgを超えてるのに、その車体を地面と平行になるように空中で維持し、更には最高到達点を超えた所でハンドルを切る。
そうすることで、着地した時に次の走行方向にいち早く車体の向きを定められるからだ。



