「…………」

 なぜお話をしないのか? ってお思いでしょう? 殿下は私がお話をしても面白くなさそうなお顔をしますの。いつも下を向いてうむ。としか返ってきません。


 その顔を見ていると辛くなってしまいます。政略結婚の相手ですもの。
 私の顔を見たくないのでしょう、やっぱりこちらを向きませんもの。


 でもお話があると仰っていましたわね。無言の時間は辛いですわ。ここは私から


「……殿下、お話というのは」


「……でん、か?」


「? どうかされましたか?」


「いや……、母上に聞いたんだが、学園の寮は寂しいとか?」


「えぇ。そうですわね。家族と離れるのは初めてのことでしたから」


「……って、いい」


「何かおっしゃられましたか?」