その1


”ざわわー、ざわわあー…”

「うーん、風が強くなってきたな…。国上さん、じゃあ、掘りますか?」

「やりましょう。ライトを頼みます」

「わかりました」

国上はまさに、ピンポイントでカプセルが埋まっていると当りをつけた地面にスコップで突き刺した。
そして、丁寧ながらもどこか大胆な掘り起こし作業を開始した。

”手島の方は異常なさそうだな。ふう…、国上さんはまるで迷いなどない様子だ。なんとか、カプセルを探り当ててくれればいいが…”

「和田さん…、はあ、はあ…、ライトを少し寄せてくれます?」

「あ、はい…」

約50センチほど掘ったところで、国上はスコップからバールに持ち代え、地面に膝をついた。

和田は膝を折って、ライトのあてる位置を下げた。

”ザッ、ザッ…”

国上はバールを地面にゆっくりと差し込んで、地中をかき回すように軽く上下させる動作を繰り返している。


***


「この辺で大丈夫ですか?」

「もうちょっと、右へ願います」

「こうですか?」

「ええ。そこで願います」

”ザッ、ザッ…”

ここで国上はもう頭が地面につきそうなくらいの体勢になって、ごく小さな範囲を小さいシャベルで土をしゃくっていった。

”手ごたえがあったのだろうか…”

何度か土を掘りだした後、国上はシャベルを地面に置いた。

「それらしいものを掘り当てましたよ、和田さん…」

「そうですか!」

”おお、確かに何か埋まってるぞ!”

「今、拾い上げます」

国上は軍手をはめた右手を掘ったくぼみに入れ、土を払いながら何かを掴んだ。